ご挨拶
初期研修医になったときから内科医として主に消化器系の癌にたずさわってきました。造影CT、造影MRI、造影超音波、内視鏡等の画像診断のなかで、最も長く深くたずさわったのは肝臓、胆嚢、膵臓の疾患の超音波による診断で、多くの発表・論文記載を行いましたが、特に良性、悪性肝腫瘍の造影超音波診断を行ってきました。その診断をもとに、肝臓癌の治療を行ってきました。超音波ガイド下のラジオ波治療のみならず、薬物治療、放射線治療、さらにはそれらの併用治療を実施したくさんの患者さんに接してきました。定年に際して、多くの患者さんに今後はどうされるのですかとのご質問をいただき、もう少し診療を継続しようと考え、開業を選択いたしました。
クリニック開業後は、大学病院と同等の超音波装置を用いて、副作用のない超音波の造影剤を用いた超音波検査を実施し、早期の肝がんを検出した場合の治療の相談(ラジオ波治療は、自分でも済生会南部病院で実施中、または市大センター病院への紹介、穿刺困難な部位は放射線治療の提案)をしたいと思います。脂肪肝の診断や、慢性肝障害の肝硬度診断も超音波エラストグラフィーを用いて測定いたします。同様に超音波を用い、肝血管腫や FNH 等の良性腫瘍の follow up をいたします。
胆のう胆石や胆のうポリープは超音波で検出しやすい疾患です。膵臓は胃の背側にある臓器で、特に膵尾部はやせている人以外は超音波で評価しにくい部位ですが、体位変換等を工夫すれば、膵臓癌の 3 割以上は超音波で検出されております。胆のう、膵臓疾患についても十分な経験を有しております。
また肝機能障害の原因は脂肪肝、アルコール、ウイルス、薬剤、自己免疫肝炎、原発性胆汁性胆管炎、炎症に伴う一過性の肝機能上昇、甲状腺機能亢進症や炎症性腸疾患に伴う肝機能の上昇等、さまざまな原因がありますが、原因として最近増加しているのは脂肪性肝疾患、特に代謝異常に関連する脂肪性肝疾患が増えています。この疾患は肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症が関与していますので、薬物治療、運動、栄養管理の総合的なケアが重要と思います。
今後は上記の専門的な知識をいかした診療や内視鏡も含めた消化器内科全般を横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター内科と病診連携し、外勤先での一般内科診療の経験、35年間にわたる老人病院での当直、利尻、斜里、等の僻地での不定期な当直の経験等もいかし、感冒、高血圧、糖尿病、脂質異常症等の内科一般の診療を行わせていただき、地域医療に貢献していきたいと思います。
院長 沼田 和司
略歴
1985年 | 信州大学医学部卒業 横浜市立大学医学部附属病院研修医 |
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1987年 | 横浜市立大学医学部附属病院 第3内科入局 |
1988年 | 国立がんセンター中央病院 |
1989年 | 都立老人医療センター |
1990年 | 横浜市立大学医学部附属病院 第三内科特別職診療医 |
1992年 | 横浜市立大学医学部附属病院 第三内科助手 |
1993年 | 横須賀共済病院 内科医長 |
1995年 | 横浜市立大学医学部附属病院 第三内科助手 |
1998年 | 横浜市立大学医学部附属病院 臨床検査部助教 |
2003年 | 横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター助手 |
2006年 | 横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター准教授 |
2018年 | 横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター診療教授 |
所属学会・専門
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- 日本超音波学会専門医・指導医・代議員
- 日本消化器内視鏡学会専門認定医
- 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医・関東支部会評議員
- 日本内科学会認定医・指導医
- 超音波ドプラ新技術研究会常任幹事
- 日本医師会認定産業医
- 難病指定医
- 医学博士 Am J Roentgenol 160:515-521,1993.