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造影超音波(胆嚢ポリープ)

胆嚢ポリープ(胆嚢隆起性病変)の診断とソナゾイド造影超音波

腹部超音波を実施した5-7%の方に胆嚢にポリープ(隆起性病変)がみつかるといわれており頻度の高い疾患です.  胆嚢ポリープ(隆起性病変)はその大きさ(初回の大きさと経時的な増大の有無)と形状の観察が大変重要となります。

A-1 大きさと対応の目安(一般的な基準)

エコー検査での「最大径(一番長い部分の長さ)」が判断の大きな基準になります。

A-2 ポリープの大きさ       一般的な対応

5mm未満 基本的に良性の可能性が高く、定期的な健診で経過を見守ります。
5mm〜9mm 数ヶ月後(3・6・12ヶ月など)に再検査を行い、大きくなっていないか確認します。
10mm以上 「腫瘍」の可能性を否定するため、精密検査(専門医への受診)が推奨されます。

A-3 注意が必要な「形」と「変化」

大きさだけでなく、以下の場合は精密検査や慎重な経過観察が必要です。

形の違い(広基性など): キノコのように茎があるタイプ(有茎性)よりも、根元がべたっと広く盛り上がっているタイプ(広基性)は、10mm未満でも注意が必要です。

増大傾向: 前回の検査に比べて、明らかに大きくなっている場合は、サイズが小さくても詳しい検査を検討します。

B ソナゾイド造影超音波

B-1 ソナゾイド造影超音波とは

2007年1月から肝腫瘤診断に対して保険適応となりました. 肝腫瘤の存在診断、質的診断に寄与しております。最初に明記させていただきますが、残念なことに胆嚢隆起性病変には保険適応がありません。 しかしながら、胆嚢隆起性病変の血流評価にも大変有用なので、後ほど要点を絞って記載させていただきます。

ソナゾイド造影超音波は大きな有害事象報告は公的には一度もなく、私は治験のときから使用しておりますので、約23年間の使用経験では治療を要する有害事象は一度もありませんでした. 肺で分解され、息で体外に排出されますので、CT/MRIの造影剤が使用できない方、腎臓の悪い方、喘息のある方、妊婦さんにも使用可能で安全な検査薬です. もちろん放射線被曝もありません。

B-2 造影モードについて

ソナゾイド造影超音波には低音圧造影モードと高音圧造影モードがあります. 表1にそれぞれのモードの特徴を記載しました. 0.2-0.3程度の低い音圧で造影する「低音圧造影モード」は、胆嚢は高輝度のため背景のB-modeが消去できません. そのため血流の評価が不十分なことがあります. 高音圧造影モードは造影剤を壊しながら造影する手法ですが、造影モード自体が背景のBモードの影響を軽減することができ、かつ泡を破壊することで低音圧造影モードに比べて腫瘍血管の評価が明瞭となります。

  B-modeとカラードプラ 造影超音波
低音圧造影モード音圧0.2-0.3 高音圧造影モード音圧0.6-1.2
利点 使いやすい 使いやすい
リアルタイムに血流を検出
背景のBモードを排除することで
腫瘍血管と濃染の評価が可能
欠点 血流の検出感度が低い
茎の有無の評価が困難
背景のBモードの影響で腫瘍血管
の評価が困難
間隙操作の必要あり
胆嚢癌 広基・無茎・亜有茎が多い
時に血流が検出
腫瘍濃染 腫瘍濃染著明
拡張、屈曲蛇行した腫瘍血管
腫瘍血管が2本ある場合もあり
胆嚢腺腫 さまざまな形 腫瘍濃染 腫瘍濃染著明
拡張、屈曲した腫瘍血管
良性ポリープ 有茎
茎内の血流検出はまれ
腫瘍濃染 腫瘍濃染軽度から中等度
茎内に細い血管が貫通
病変内の血管は規則正しく分枝
胆泥 広基・無茎 染まらず 染まらず

B-3 ソナゾイド造影超音波による質的診断

B-3-1 胆泥

体位変換をしても胆嚢の壁に固定されたように動かない場合は、胆嚢広基性病変との鑑別が困難な場合があります. その際にソナゾイド造影超音波を行うと、胆泥の場合は、一切造影剤が病変に入らないので容易に診断することが可能です. 胆嚢広基性病変の場合、胆嚢癌が否定できませんが、その場合には広基性病変内部に腫瘍血管と濃染を認めます。

図1  胆泥 (最大径12mm). a. 通常の超音波Bモードでの胆嚢内に胆石(矢印)と広基性病変(矢頭)を認めた. b. 低音圧造影超音波では、胆石には造影剤が流入しないが、広基性病変にも造影剤は流入しないのでまったく染まらず胆泥と診断できた. 向かって右側は造影モード、向かって左側は参照のBモード. 一般的には胆嚢ポリープ、腺腫、癌は濃染します。

図2  胆泥と胆嚢癌(最大径26mm). a. Bモードでの三次元超音波で前後方向に並べた画像では、胆嚢内に胆泥が疑われた。矢印は胆泥の上縁を示している. b. 高音圧での三次元造影超音波で前後方向に並べた画像では、背景のBモードを排除し、胆泥の背側に隠されていた屈曲した腫瘍血管を有し腫瘍濃染する広基性病変を検出することができた. 矢印の先端は病変の境界を示している. これらの図は以下の文献より許可を得て引用したものである. Miwa H, Numata K, Sugimori K, et al. Differential diagnosis of gallbladder polypoid lesions using contrast-enhanced ultrasound. Abdom Radiol. 2019;44:1367–78.

B-3-2 胆嚢コレステロールポリープ(図3)

10mm以上でもコレステロールポリープの場合がありますが、Bモードやドプラでは茎の有無を評価できない場合があります. 造影すると細い茎を検出することが可能になります。

図3  胆嚢コレステロールポリープ(最大径、14 mm).

a. Bモード画像では、辺縁がやや不均一な高輝度を認める。一見すると広基性にみえる。
b. カラードプラで病変の外から内部に血流を認めるが、茎の有無は不明。
c. 高音圧造影超音波画像では、まっすぐで細い血管を茎部に認め(矢印)、腫瘤自体は樹枝状の血管を認め、淡く濃染する. 腫瘤と茎の間は染まらないため、ここはスペースがあり、有茎性であることがわかる。

大きさが14mmであったため切除したが、組織学的検査では、コレステロールポリープであった。

B-3-3 胆嚢腺腫

胆嚢腺腫は様々な形態を示すが、広基性よりも亜有茎性が多い可能性があります. 拡張、屈曲した腫瘍血管が見られることがあり、癌との鑑別は容易ではありませんが、癌と比べると腫瘍血管の屈曲がおとなしい可能性があります。

B-3-4 胆嚢癌(図4)

広基性・無茎性病変が多いのですが、有茎性の場合もあります。コレステロールポリープや腺腫と比べてより拡張、屈曲蛇行した腫瘍血管の場合が多く、時に腫瘍血管が2本ある場合もあります.   

図4 多発胆嚢癌(最大径15mm). a. 造影CTにて胆嚢内に辺縁不整な腫瘍を認めた. このスライスでは1病変しか検出できない. b-c. 高音圧での三次元造影超音波動脈相で血管造影のように血流像を立体的に表示したもの. 動画であれば回転させながら多方向から観察することが可能. bは主病変(矢頭)を、cはその周囲に主病変よりも丈の低い副病変(曲矢印)と胆石(矢印)を示す. いずれも無茎性であり、胆石は染まらないが、他の腫瘤は血流を認める。

d.三次元造影超音波動脈相で主病変を拡大観察した画像で病変は屈曲蛇行した腫瘍血管を2本有していた. e. 三次元造影超音波動脈相で主病変を上下方向に数ミリずつずらして並べて表示したものである. 一部ひきつれた部位を認め(矢印)、筋層までの浸潤を疑う所見. 切除後のマクロ所見では、15×13×11mmの主病変(矢印)と、その周囲に丈の低い12x10mmと9x5mmの副病変(曲矢印)を認めた. 胆石は取り除いてある. 病理組織所見では、いずれも乳頭状腺癌であり、主病変は一部筋層まで浸潤していた(g)。                                                                                                  

C まとめ

胆嚢隆起性病変のまとめを図で示します。大きさや形のみでは診断が難しい場合がありますので、造影超音波を用いることで、腫瘍濃染の有無、腫瘍血管の性状をみて質的診断が可能になることがあります. 保険が適応されていないのが残念ではありますが胆嚢隆起性病変の診断に有用な検査であると考えます。

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