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膵臓癌の超音波

膵臓癌の超音波

膵臓癌のスクリーニングは超音波です。超音波でよく見える部位に関しては、空間分解能はCT/MRIよりも良好です。腫瘍は低輝度病変として描出され、末梢の主膵管が拡張することが多いです(図1)。一方、太ったかたでは厚い脂肪組織の影響で膵臓の視認性がよくないため、造影CT、造影MRIの併用が望ましいです。造影できない場合は造影なしのCTよりはMRCPを含めたMRIのほうが膵臓癌の検出感度は明らかに良好です。

クリニックを始めてから1年2か月が経過しましたが、4名の方に膵臓癌を超音波で発見しました。超音波を実施したきっかけは腹痛または肝機能障害でした。1名の方が、術前の化学療法後、切除を実施しました。日本において膵臓癌は年々増加し、癌関連死亡の第3位です。特に60歳以降に多く、有意な男女差はありません。2024年の死亡者数は約41,000人です。2018年診断例での5年相対生存率は13.2%と非常に予後の悪い癌です。これは膵臓の解剖学的な大きさと位置が関係していると思われます。腹部の臓器で最も大きい肝臓は長さが約20cmありますが、膵臓の厚みは最大でも約3cm程度で、薄い箇所では1.5cm程度です。長さは身体の中央のやや右側から左の背中まであり非常に細長い紐のような臓器です。胃と十二指腸と脾静脈に接しており、その背側には腹腔動脈、上腸間動脈、下大静脈があります。内部には総胆管、脾動脈が走行しています。例えば2cmの膵癌の場合、癌が膵臓外に飛び出し、胃や十二指腸に浸潤して通過障害を起こせば、悪心嘔吐を呈します。膵臓周囲の神経叢に浸潤すれば痛みを生じます。周囲の脈管に浸潤すれば肝臓等の他臓器に転移していきます。肝臓に転移すれば肝機能の数値が上昇することもあります。総胆管に浸潤すれば胆汁が流れなくなり、閉塞性黄疸を呈した場合、黄疸を呈します。

図1 膵臓癌(膵頭部)症例: 心窩部横走査にて主膵管の拡張を認め(a), その中枢側を観察すると、膵頭部に低輝度病変を認める(b).  カラードプラで観察すると病変(矢頭)は上腸間膜動脈と接している(c). 心窩部縦走査のB-modeとカラードプラにても上腸間膜動脈に接していることが確認された(d-e).

膵臓癌の造影超音波

肝腫瘤があり、肝臓への転移を否定できない場合は保険適応となりますが、膵腫瘍単独の場合、ソナゾイド造影超音波は保険適応されておらず自費となります。

典型的な膵臓癌の場合、腫瘍の辺縁部位に細かな腫瘍血管が入りますが、非腫瘍部位と比べて乏血となります。血流の多い場合は、非腫瘍部位と同様の濃染を認める場合もあります。神経内分泌腫瘍の場合は、腫瘍内部に明らかな腫瘍血管が入り、非腫瘍部位と比べ多血となります。自己免疫性膵炎の場合は、膵臓全体は低輝度で腫大し、主膵管の拡張を認めないことが多いです。造影すると膵腫瘤全体に微細な血管と、均一の濃染を認めます。以下に図2-7で説明します。図7はまとめです。

図2 膵臓癌(膵体尾部)症例: コンベックスプローブでの心窩部横走査にて膵体尾部がやや低輝度であるが輪郭は不明瞭(a), リニアプローブでは低輝度領域はやや明瞭になる(b). 造影超音波で腫瘍部位は周囲よりも血流が少なく、周囲よりも低輝度になる(乏血) (c, d).肝転移病変はリニアプローブでみてもはっきりしないが(e), 造影をすると転移部位が明瞭に陰影欠損像を呈する(f). 矢頭は腫瘍部位を示す.

図3 膵臓癌(膵尾部)症例: 膵尾部に約5cmの低輝度病変を認める(a).  造影超音波で腫瘍辺縁部位に腫瘍血管を認めるが腫瘍部位(矢頭)は非腫瘍部位と比べて血流は乏しい(乏血)(b). 三次元造影超音波は造影超音波とほぼ同様に所見ですが前後方向に厚みがあり、立体的に奥行きがあります(c). 矢頭は腫瘍部位を示す.

図4 膵臓癌(膵体尾部)症例: 造影CTとの融合画像で膵尾部に約4cmの低吸収領域を認める(a).  通常のB-modeでも腫瘍部位は低輝度病変として描出可能. 背側に脾静脈を認める(b). 造影超音波で腫瘍部位(矢頭)は非腫瘍部位と比べて明らかに血流は乏しい(乏血) (c). 矢頭は腫瘍部位を示す.

図5 神経内分泌腫瘍(膵尾部)症例: 通常のB-modeでは腫瘍部位は低輝度病変として描出 (a). 造影CT動脈相で膵尾部に約1.5cmの高吸収領域を認める(b).  造影超音波で腫瘍部位は明らかな腫瘍血管と腫瘍濃染を示す(多血) (c). 三次元造影超音波は造影超音波とほぼ同様に所見ですが前後方向に厚みがあり、立体的に奥行きがあります(d). 矢頭は腫瘍部位を示す.

図6 自己免疫性膵炎(膵全体)症例: 膵全体は腫大し低輝度である(a).  造影超音波による経時的変化(b-e). 腫瘍内部に微細な血管を認め全体が均一に淡く染まる(b-e).

図7

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